公正証書作成後に再協議して条件を修正した事例
- 職業:
- 会社員
- 婚姻年数:
- 6年
- 子供の有無:
- 有り(2人)
- 問題の原因:
- 適切でない公正証書を作成してしまった
ご相談内容
相談者の不貞が妻に発覚して離婚を求められた。妻からは、親権、算定表より高い養育費、残り数十年の住宅ローンの返済、相場より高い慰謝料を要求された。
条件を飲めば子どもと面会を認めると言われ、相談者は離婚条件に合意した。相談者は弁護士に相談せずに妻が作成した公正証書案に同意し、公証役場にて離婚公正証書を作成した。
しかし、不貞が原因で離婚になったことを考えても、公正証書の内容は著しく不公平であった。
そもそも、相談者の年収では履行できる内容ではなかった。相談者が離婚届不受理届を提出したことから、妻から離婚調停を申し立てられた。
一言アドバイス
離婚が有効となるには、お互いの離婚意思が合意した時だけでなく離婚届の提出時(役所が受理する時)にも成立していることが必要です。
不利な内容の合意をした場合でも、合意内容に疑問を抱いたのであれば、一旦役所に離婚届不受理を届出し、弁護士に相談した上で再交渉することをお勧めします。
アドバイス詳細
協議離婚の一態様として、合意した内容を公正証書にすることがあります。公正証書にしておけば、後に合意内容を覆すことは難しくなる上、金銭債務に不履行があればすぐに強制執行が可能です。
ただ、公正証書を作成するだけでは離婚は成立しません。別途に双方署名捺印した離婚届を役所に届け出る必要があります(あくまで協議離婚の1つです)。このことから、公正証書を作成したが離婚届が提出されない事態が生じ得ます。その原因としては、後で離婚したくなくなった、離婚条件に不満を持ったことが考えられます。
本件では、相談者は離婚は仕方ないと考えていましたが、公正証書の内容が余りに一方的であったことから条件の再協議を希望しました。すでに離婚届は書いており、まず離婚届不受理の申請をするよう助言しました。離婚届が受理されるまでに離婚の意思を撤回することは自由です。そうしたところ、妻は離婚調停を申し立てました。
離婚調停では、妻は公正証書の内容通りで離婚するよう求めました。これに対し、相談者は調停実務に沿った条件の修正を求めました。協議は難航し不成立もやむを得ない状況となりましたが、最終的には双方が譲歩して調停が成立しました。
具体的には、養育費は算定表近くまで下げる、自宅を売却してローンを返済し売却益は妻に渡す、慰謝料含みで財産分与を妻に多めに渡しました。離婚時には妻側に財産が多めに行く内容です。一旦は公正証書の内容で合意した事実があるので、相談者はこの点はやむを得ないと理解しました。
他方で、相談者は将来の経済的負担を軽減することができました。特に住宅ローンの負担が消えたことは、今後の生活基盤を見通す上でも意味があったと思われます。
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ご相談内容 家庭内不和が原因で別居して以来、10年別居が続いていた。その間、配偶者の生活費、子どもの学費は全て依頼者が支払ってきた(配偶者は専業主婦)。 子どもが大学を卒業する見込みとなり、人生を再びやり直したいと思い離婚を決意した。自宅(…
- 職業:
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- 問題の原因:
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