離婚を前提とした別居のメリットとデメリット

星野 龍一
代表弁護士 星野 龍一 (ほしの りゅういち)

離婚を検討する場合、必ずしも別居をしなければならない決まりはありません。

なので、同居しながら離婚協議をされる方はいますし、かなり稀な例ではありますが、同居しながら離婚調停を申し立てる方もいらっしゃいます。

しかし、別居することによりお互いが冷静になって夫婦関係を見直すことができることは多いです。

話し合いがよりスムーズに進んだり、円満という選択肢が見えてきたり、夫婦問題以外の面、たとえば仕事に支障が出なくなるといった効果も期待できます。

というわけで今回は、離婚を前提とした場合の別居のメリットとデメリットについて見ていきます。

別居のメリットについて

離婚を考えている人の多くは、いろんな面において苦痛を感じている方がほとんどではないでしょうか。

別居のメリットとして、こうした苦痛から解放されるということが挙げられます。

また、別居することで離婚に向けた準備を着々と進められるというメリットもあります。

専門家に相談に行く際に配偶者から変に勘繰られません。

離婚する前から自身の生活環境を整える意味でも別居は非常に有効です。

さらに、別居している事実が離婚時に有利に働くことがあります。

特に調停や裁判においては、別居している事実が円満な解決が難しいことを示唆する裏付けになります。

ただし、相手が離婚に応じない場合、裁判では6年前後の別居期間が必要になります。

1~2年の別居期間で裁判で勝てるわけではないので注意しましょう。

別居のデメリットについて

なかなか離婚の話し合いが前に進まない時、離婚を前に進めるための方策として別居は大いに検討されるべきものです。

しかし、あまりに一方的な別居である場合、「悪意の遺棄」に該当しうることには注意が必要です。

夫婦関係を修復しようとする努力もしないままに、一方的に別居を強行するようなケースが当てはまります。

特に、別居することで相手方が生活に困窮するような場合、相手を一方的に家から追い出すような場合には、離婚が認められないばかりか、慰謝料請求される恐れもあります。

あくまでも、別居は最後の手段であり、相手ときちんと話し合いを行うことが必要といえます。

ただし、DV・モラハラを受けている場合、相手の不倫が発覚した場合、相手の浪費・ギャンブルが度を超えている場合は、もはや婚姻関係の修復が見込まれないので、相手の承諾が得られなかったとしても別居に踏み切ることもやむを得ないと言えるでしょう。

別居する時の注意点

別居してすぐに離婚できるというわけではありません。

調停ともなれば数カ月かはかかります。

そのため、別居するにあたってはいくつか注意すべき点があります。

①生活基盤の確保

配偶者に収入を頼っていた方は、別居後の生活費の確保という問題があります。

別居していても収入が高い方の配偶者には婚姻費用の支払義務が生じます。

できれば別居前に婚姻費用、つまり生活費の分担の約束をしておくのが理想です。

別居後に調停を申し立てれば婚姻費用は認められることが多いのですが、実際に支払いが開始されるまである程度の時間がかかります。

まだ固有の収入がない方は、就職できるまでの当座の生活費として、自分名義の預金の確保、両親からの仕送り、公的給付の申請等を準備しておきましょう。

配偶者に給与の管理を委ねている方は、別居前に給与の管理を自分でできるようにします。

その上で必要な生活費を渡せばよいのです。

相手がどうしても応じないのであれば、給与の振込先を変更することもあり得ます。

②財産の確保

財産分与の基準時は、別居時とされています。

別居後に夫婦共有財産が減少したとしても、離婚時に精算することが可能です。

ただ、精算が不可能なまでに消費されるおそれもあります。

そのため、別居時には自分名義の預金通帳、株式口座などはしっかりと管理できるようにしておきましょう。

また、相手の財産状況を把握できるのは同居している時だけです。

銀行口座、証券口座などをどこに持っているか、それとなく聞き出しておきます。

ただし、みだりに相手の郵便物を開封したり、ネット口座にログインすることは夫婦間と言えども犯罪になりかねません。

調停や裁判の中で開示してもらうプロセスもあるので、あまり無理はしない方がよいでしょう。

③住民票

住民票は転居すれば移動するのが決まりです。

子どもがいる場合、住民登録をした住所地が登校する学校を決める基準になるので、子どもを連れて別居する際は住民票を移す必要があります。

ただし、DVを受けて別居する時などは住民票を移すと危険なので、市役所などにその旨を相談しておく必要があります。

④離婚不受理届

離婚を前提に別居するのだが、しっかりと条件を決めてから離婚したいという方は、市区町村役場に「離婚届の不受理届」を出しておきましょう。

子どもで争いが起きそうな場合には?

別居する前に、どちらが子どもと一緒に暮らすかについて決めておく必要があります。

そうしないと、別居後に相手から監護者指定及び子の引渡しの審判を申し立てられるおそれがあります。

一概にどちらが有利不利といえませんが、男性側が不利な面があるのも確かです。

離婚して親権を取りたいという方は、子どもを連れての別居は慎重に考える必要があります。

別居の判断は慎重に…

別居には大きなメリットがあるものの、デメリットや注意しなければならない点、別居前に決めておかなければならないことも多くあります。

今すぐに別居しても大丈夫なのか、別居前に準備すべきことがあるのかについて疑問がある方は、一度当事務所にご相談ください。

当事務所は初回相談無料にてお話を伺っています。

ご自身の別居の判断が正しいのかどうか、当事務所の弁護士が責任を持ってアドバイスいたします。

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